身軽になったところで、もうひとつ。フロアって、どのあたりに立つのがいいんでしょうか。
前方と後方で、得られるものが変わります。何を優先したいかを先に決めると、迷わずに済みます。
前方は見えやすくなるが、体力と音量の負担は大きくなる
やっぱり前のほうがいいんだろうな、と思っていました。
表情や手元がよく見えますし、その場の熱量も直接伝わってきます。ただ、人の密度が高く、前後から押される場面も出てきます。ステージのすぐ前は、演奏者用のモニタースピーカーやアンプの音が直接届きますので、音量そのものもいちばん大きくなります。
音が大きいのは、むしろ迫力があっていい気もするんですけど……。
迫力は間違いなくあります。一方で、大きな音を長い時間聴き続けることには、耳への負担が伴います。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、85デシベルを超える音を長時間・長期間にわたって聞き続けることが騒音性難聴の原因になると説明しています。音が大きくなるほど、短い時間でも負担は増していきます。
85デシベルというのは、どのくらいの音なんでしょうか。
交通量の多い道路のそばくらい、とよく例えられます。コンサート会場はそれよりかなり大きく、WHOは会場の平均的な音量の上限として100デシベルという基準を示しています。ライブに行くと必ず耳を悪くする、という話ではありません。ただ、負担がかかる環境ではあると知っておいて損はないと思います。
後方や壁際は全体の音がつかみやすく、初めてなら選びやすい
では、後ろのほうはどうなんですか。
音のバランスは後方のほうが整います。客席用のスピーカーはフロア全体に届くよう設計されていますので、少し離れた位置のほうが、各楽器と歌の関係を聞き取りやすくなります。人の密度も下がりますから、自分のペースで過ごせるという利点もあります。
初めてなら、後ろのほうが向いているということでしょうか。
最初の1回としては選びやすいと思います。壁際なら寄りかかれますし、動きたくなったときの移動もしやすくなります。もちろん前方が悪いという話ではありませんので、2回目以降に前を試してみる、という順番でも十分です。
耳鳴りや聞こえの違和感が続く場合は、耳鼻咽喉科で相談する
耳を守る方法として、前に耳栓の話が出ていましたよね。
ライブ用の耳栓が選択肢になります。工事現場などで使うものは音をまとめて遮ってしまいますが、ライブ用は、音の高さごとのバランスを保ったまま全体の音量を下げる作りです。下げ幅を選べる製品もありますので、まずは下げ幅の小さいものから試すと、感覚がつかみやすくなります。
終わったあとに耳がキーンとすることがあると聞きました。あれは大丈夫なんでしょうか。
一時的に収まることもありますが、続くようであれば受診してください。耳鳴りや、耳がふさがった感じ、聞こえにくさが翌日以降も残るときは、自己判断せずに耳鼻咽喉科で相談していただくのが安全です。
まとめますと、前方は見え方と熱量、後方は音のバランスと過ごしやすさ。初めてなら後方から試して、慣れてきたら前を選ぶ形が無理がありません。耳栓は下げ幅と装着感で選び方が変わりますので、自分に合うものをひとつ持っておくと、立つ場所の選択肢そのものが広がります。
場所によって、気をつけることも変わってきそうですね。フロアで周りの迷惑になりやすい行動って、どんなものがありますか?